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スマートな住まい・住まい方カフェ
第2回 ローカルファースト

自分にとっての、ローカルファースト(※1)って何だろう?
そんな疑問を参加者一人ひとりが、考えるきっかけとなった第2回目のスマートな住まい・住まい方カフェ。講師にはステップチェンジ㈱の吉澤卓氏を迎え、地域のつながりの意義と課題をお話頂きました。また今回は参加者の意見にスポットを当て、それぞれにとっての「ローカルファースト」を、ワールドカフェ形式で話し合いました。

第二回カフェレポート(コーディネーター:東みちよ)

あいさつ会からはじまる、マンションのコミュニティ作り

あいさつ会からはじまる、マンションのコミュニティ作り

隣に住んでいる人の顔さえ知らない…。都会のマンションの閉塞感は、しばしばこんな言葉で表されてきました。 「でも人間関係を作ることは、マンションをより住みやすくするためにも必要なことです。とくに分譲マンションにおいては、共有資産の価値をどう高めていくかということをみんなで考えていかなければいけません。人間関係を作っておくことで、何かするにも合意形成がしやすくなり、快適な環境が作られるようになります」

そう語る吉澤さんは、これまで開国博Y150ヒルサイドや、イマジン・ヨコハマなどの市民参加事業などに関わったあと、マンションにおけるコミュニティ支援を仕事として行ってきました。具体的には、住民同士の「あいさつ会」を各棟で行っています。居住者同士が顔を突き合わせる場を作ることで、コミュニケーションを促します。またマンション内で主体的に動いてくれる人を見つけるため、イベントなども行うそう。
そうやってマンションを一つの組織に見立て、プレイヤーを探し、人と人のつながりを仕掛けることで、あとは自主運営を促す……という手法は、マンションに限らずコミュニティ作り全般に応用できることかもしれません。

実家というもう一つの地縁とのつきあい方

また熟年世代にとっては、実家をどうするか? ということも大きな課題です。吉澤さんはローカルファーストの選択肢の一つとして、実家の地縁をあげてくれました。
「いま実家をリノベーション中でして、二世代住宅として暮らす予定です。でも今までずっと離れて暮していた実家で、どうやって地域とのつながりを作っていけばいいのか。それは今後の課題ですね」
マンションに比べて、より地域とのつながりが日常で求められる戸建住宅では、自治会というのも昔ながらのコミュニティのあり方です。
「お祭り、防災訓練、高齢者見守りなど、自治会では共通の目的があってつながりが生まれます。私の地域では、自分を含め、外部からの移住者も積極的に自治会参加することで地域のつながりを作ってきました」(コーディネーター:東みちよ)
ただし自治会運営に関わっている人たちの高齢化も進んでいるため、それも課題として考えていかなければ、と吉澤さん。(画像:若林の家)

あなたにとって、ローカルファーストって何ですか?

あなたにとって、ローカルファーストって何ですか?

後半は参加者全員が5つのグループに分かれてワールドカフェ形式で話し合いました。最初の課題は、自分にとってのローカルファーストとは? でした。
「東北ボランティアで行っている場所」、「子供の頃に何度も行った場所」、「ふるさと、実家」「地元で野菜をもらったとき」「職場のまわり、呑みニケーション」「コミュニティに参画している場所」……。

そこでは自分との関係性がある場所が数多くあげられました。ローカルファーストとは、個人の経験に非常に近いもの?
また一方では、「自然があるところ」「古いものと新しいものが融合している街」「五感の記憶、匂い、音」「自分が散骨されてもよいと思える場所」などなど、イメージから連想されるものもありました。前者は行動することで身体で感じる場所、後者はイメージとして頭で考える場所、多様なローカルファーストが見えてきました。

住まいのまわりをローカルとした場合、どうしたら大切に思えますか?

「住んでいるところがローカルと思えない」----最初の質問でわかったのは、住んでいるところ=ローカルではない人が結構多いということでした。とくに外で働く男性は多数派です。ではどうしたら自分が住んでいる場所を大切に思えるのでしょうか? 
「子供が育つ場所として考える」「自然や建物がごちゃごちゃ混在している方が親しみやすい。センター北のように整然とした町は違和感がある」「ローカル線があると地域への愛着が増す」「昔の町並みを知り、景観の移り変わりを理解すると愛着が増す」「水辺の文化を育てる」「祭りを楽しむ」「住人同士、互いの顔が見えないとコミュニケーションがとりづらい。マンションであっても顔の見える関係作りが必要」……。

さまざまな意見からは、今住んでいるところの資源や問題点と、そこに住み続けるために必要なことがぼんやりですが見えてきました。街づくりを考えるとき、私たちはつい俯瞰して考えてしまいがちですが、個人の経験や身近な場所から、見て、感じることも大事。とくにローカルファーストを考える時には、鳥の目だけじゃなく虫の目、触覚も必要、ということを改めて実感しました。

参加者同士のコミュニケーションを促した第2回目のスマートな住まい・住まい方カフェ。自由な発想から生まれた意見の数々は、参加者の個性と問題意識があってこそ。今後も横浜ならではのイノベーティブな提言が生まれることに期待します!

カフェレポート①

・ステップチェンジ株式会社
吉澤卓

カフェレポート②

・ワールドカフェ
参加者全員が5つのグループに分かれて形式で話し合いました。

テーマ
「あなたにとって、ローカルファーストって何ですか?」
「住まいのまわりをローカルとした場合、どうしたら大切に思えますか?」

<注解説>

※1 ローカルファースト = 米国の地方都市で盛んとなった地域の購買運動が発端。ナショナルストアではなく、ローカルストアで買い物することで地元経済に還元することができるという調査のもと運動は発展した。現在は、地域の資源、人とのつながりを大切にするライフスタイルのあり方のキーワードとして使われている。

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